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はじめに
研究や業務の成果を第三者に伝えるためのコミュニケーションの手段としては、一般に、ポスターセッション、口頭発表、文書による報告の3種類がある。各々の特徴は、一般的には、表−1のように異なっている。
表−1 コミュニケーションの特徴
| ・ |
ポスターセッション |
口頭発表 |
文書による報告 |
| 時 間 |
●3秒で参加者の注意を惹きつける
●30秒間でポスターの全体を判らせる
●3分間で質問に対して十分な情報を提供する |
●一般的には、10〜20分 |
●特に決まっていない。読み手の都合によって決まる |
| 場 所 |
●部屋やホールで、他の多くのポスターと一緒に展示される
●参加者は絶えず動き回っている |
●限定された参加者を前にして、会議室などで行なう |
●任意の場所。読み手の都合によって決まる |
| 参加者 |
●監督者、経営者、同僚
●潜在的顧客
●一般大衆 |
●限定的である |
●極めて限定される |
| コミュニケーションの形態 |
視覚による
●A0版のポスター
●口頭による質疑応答 |
視覚と口頭による
●印刷物
●OHP
●パワーポイント
●身振りや動作 |
文書による
●印刷物 |
ポスターとは何か? ポスターセッションとは何か?
ポスターとは、一般的には、大きな紙や厚紙を使用して、その上に写真、グラフ、データ、文章などを視覚情報の形で提示したものである。効果的なポスターでは、取り上げている話題や研究成果の要点を簡潔に表示している。
ポスターセッションとは、オープンスペース(公開の場)にポスターを掲示し、参加者が自由に見て回れるようにしたものである。技術関係のポスターセッションでは、殆んどの場合、発表者がポスターの脇に待機しており、質問に答えたり、補足的な情報を提供したり、参加者がポスターに注目するように仕向けたりする。ポスターセッションの最終的な目的は、発表者と参加者の間でアイディアを交換し合うことである。
参加者がどのポスターを見るのかを決定する際の参考のためもあり、技術関係のポスターセッションでは、発表内容の概要(アブストラクト)を準備する場合が殆んどである。
ポスターを効果的にデザインするためのガイドライン
3−1 概 要
典型的なポスターセッションの雰囲気と状況は、以下のように表すことができる。
- 大量のポスターが掲示され、同時並行で発表が行われる。
- 参加者にとっては、全てのポスターについて、詳細にその内容をじっくりと読む時間が十分にとれることは殆んどなく、どのポスターを集中的に検討するかの選択を行わなければならない。
- 見学者として参加した人の殆んどは、どのポスターを読むべきなのかを予め考えて参加しているわけではない。多くの人は、展示会場を歩き回って、何らかの興味をひくポスターを探し回る傾向が強い。
- 「遠くからの見た目」の良いポスターは、参加した人にもっと近寄って検討しようと思わせるのに有効である。この「遠くからの見た目」という場合の距離は、ポスターから3〜5mの距離を考えればよい。
- 見学者がポスターと発表者に興味をひかれた場合、掲示されているポスターのデザインや内容を近づいて眺めることになる。見学者に興味を持ち続けさせるためには、ポスターの内容の質が高く、ポスターだけで全てが説明されている必要があり、また、明快で魅力的な図を使用した表現になっていなければならない。
上記の諸点から考えても、ポスターをデザインする場合には、ポスターの内容(即ち、ポスターに盛り込むべき情報)に配慮するだけではなく、ポスターの図的表現の魅力度についても配慮しなければならない。
ポスターは3〜5mの距離から眺めても魅力的である必要があるばかりではなく(遠くからの見た目)、見学者がポスターに近づいてぎた場合でも、興味のある内容や図的表現によって、その魅力を保持していなければならない(近寄った場合の見た目)。逆に、内容的にどんなにすばらしいポスターであっても、図的表現としての魅力に欠けるポスターは、見学者を惹きつけることにも失敗する恐れが大きい。
その他、留意しておかなければならない事項としては、
- ポスターの発表者が不在の時に見学者がポスターの前に来ることも考えられるので、ポスターだけで全てが説明されており、理解できる必要がある。
- あるポスターに興味を持った人達は、その活動内容についてより詳しく知りたいと考えることもある。発表者がポスターの前に居ることと、その発表者が質問に答えたり、ポスターの内容について説明することが、ポスターセッションを成功させるために必要な要素である。
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